IBUKINGの育児日記

先天性心疾患で生まれた我が子の子育て日記

はじめに〜胎児が総肺静脈還流異常症と診断されて〜

はじめに

妻のお腹の中にいる我が子が総肺静脈還流異常症(TAPVC)と診断された。
幸いにも突然の宣告ではなかったため、心の準備は出来ていたが、相応の覚悟が必要と判断。
今後同様の症例にぶちあたる人たちのためにも、自分が症例への理解を深め正しい知識を得るためにも、記録を残しておきます。

この記録を始めるにあたっての流れは以下のとおり。

  • 2回の体外受精により妊娠。
  • 19週0日目の4Dエコー検査時に、心疾患の可能性があることが告げられる(このとき兆候を発見できた技師さんは本当に優秀だったと思う)
  • 紹介状により、早急に別の病院で検査をすることになった。


ちなみに、兆候を発見できた病院は埼玉県の恵愛病院。

2021年7月5日(19週5日目)

埼玉医科大学総合医療センターにてエコー検査。



詳細なエコー診断により、総肺静脈還流異常症(TAPVC)と診断。

f:id:hitoribucho:20211123194421j:plain


つまり、発生の段階で心臓周りの血管がうまく形成されずに、肺で取り込んだ新鮮な酸素を全身に送ることができない状態
新鮮な血液が、酸素の少ない血液と混ざった後に全身に送り出されるため、常に酸素が十分にない状態にある。

  • 一般的な新鮮な血液の酸素飽和度は98~100%
  • 静脈の酸素飽和度は60~70%


つまり、これらが混ざることにより、この疾患における血中酸素飽和度は単純計算で約80%程度となる。(合流する血液の割合によって差はあることに留意)

つまり、今妻のお腹の中にいる胎児は、常に富士山山頂で生きていることと同じ状態にいる
健康な大人でも高山病のリスクを抱えるレベルの環境にさらされていることになる。
参考:富士山登山における心拍数,および自覚症状スコアの変化(2007, 関和俊、石田恭生、小野寺昇、田淵昭雄)

こう考えるだけでも赤ちゃんはとても辛いことに耐えていることがわかり、涙が出てしまう。
大抵の場合、胎児のときに診断がされることは少なく、ほとんどが出生後のチアノーゼや多呼吸がきっかけで心疾患が疑われるため、今回、出生前に診断されたことは幸運といえる。(しかも最初に疑ったのは医師ではなく、技師であった。)

 

本当に感謝したい。