IBUKINGの育児日記

先天性心疾患で生まれた我が子の子育て日記

2021年11月21日(39週4日目)〜長男の誕生〜

前日

そろそろ家に赤ちゃんを迎える準備をしておきたくなり(手術後1ヶ月以上先の話になるけども)、ベビーベッドをこしらえてみた。

いわゆるベビーベッドではなく、キャンプ用のワゴンを活用した。

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これにはタイヤもついているし、ちょうど良い大きさだし、畳めるし、用が済めばアウトドアやお出かけにもってこいの代物だ。

幼児の散歩にも使えるかもしれない。(よく道端でみかける保育園の集団散歩みたいなやつ)

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AM6:20

爽やかな日曜の早朝に携帯がブーブーなる。

ちょうど6:30に起きて出社する予定だった(仕事が忙しい・・・)

のでこれはちょうど良い目覚ましになったと、ラインを開くと、妻から「破水した」とのメッセージが。

こりゃ大変だ!仕事してる場合じゃない!

慌てて飛び起きて病院へ向かう準備を始める。

病院へ着くと、無痛分娩用の麻酔を絶賛挿入中で、PCR検査を済ませてからやっと立ち合いができるとのこと、、、

PCR検査の結果を待っている間、僕は何もできずにただスマホの画面を眺めていた。

ちょっと慌ただしく家を出過ぎて、仕事のPCも小説もスマホの充電器も置いてきてしまった。 普段こんなことありえないんだけどな。

1時間ほどしてようやく分娩室に入室することができた。

妻はLDRの上で横たわっていたが、麻酔が効いているのか、陣痛でいたく苦しんでいるだろうという僕の予想を遥かに超えた平和な世界が目の前に広がっていた。

室内には看護師が選曲した落ち着く系ミュージックが流れている。

3分間隔くらいで陣痛が来るが、ちょっと痛いくらいで済んでいる。 無痛分娩でなかったら、痛みで泣き叫んでいるのだろう・・・。

ちなみに日本人で初めて無痛分娩をおこなったのはあの与謝野晶子らしい。

https://core.ac.uk/download/pdf/236186797.pdf

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LDRの様子

助産師によれば昼くらいには生まれるだろうとのこと・・・

それまで暇すぎて、本当に何もすることがなく、ただただ陣痛の波がわかるグラフを見ながら2人で会話している感じで時間を過ごした。

12時がすぎ、なかなか本番にならない様子・・・

ついに助産師が夕方までかかりそうね〜という。

しまった、まともなご飯を持ってきていない。

いやいや、妻の方がもっと辛いことになっている時に 自分は何を考えているんだ。

いよいよ出産

14時くらいから、助産師がそろそろいきみましょうということで、本格的に 産む体制に入った。

陣痛が来る前に深呼吸で息を整え、胎児に酸素を十分に送る。 陣痛が来るたびにいきむ。休む。

これを繰り返し、妻は 麻酔で感覚が はっきりしない中で苦労している様子だった。

16時台には出しますからね〜と助産師。

ついにこれまで検診でお世話になってきた担当の医師も登場して、本当に 本当にそろそろ来るのだとわかった。

最後の一踏ん張り、ウーンと唸る妻の頭を支える。
16:43
3310gというでかい我が子が妻のお尻から出てきた。

僕の目からもいろんなものが出てきた。

この瞬間は、単純に妻への感謝しかなかった。

よくぞ、産んでくれてありがとう。

これまで自然妊娠が叶わず人工授精を繰り返し体外受精に入って 何度もあきらめかけてきた。 ついにつかんだチャンスに、切迫流産、切迫早産を乗り越えて産んでくれた妻へ、本当にありがとう。

そして一颯、ここまで本当によく頑張ったね。ママのお腹の中でたくさん大きくなったね。

外の世界は少し苦しいかもしれないけど、これから2人で一生懸命支えていくからね。

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出産後

生まれた赤ちゃんは直ちにPICUに運ばれていった。 妻は会陰切開をされた後の処置に入っていたが、 保護している医者の手が。 真っ赤に染まりなかなか終わらない。

徐々にこれはただごとではないという感じで僕は部屋の外で待機するよう命じられた。

その間僕は すっかりペコペコになったお腹を満たすべくコンビニへ走った。 19時くらいにPICUから呼び出され、早速赤ちゃんのエコー診断結果を伝えてくれた。

家によると総肺静脈還流異常症のIa+Ibの混合型らしい。 余計な肺静脈が発生の段階でできていて、それが小さいため手が付けられないとのこと。 つまりは、手術によりIa側を心臓に結合しても、Ibの方の肺から取り込んだ新鮮な血流は静脈へ還流してしまう。

命に別状がないならそれでいいかと、楽天的に捉えてみる。

その後、PICUにいる我が子を抱かせてくれた。

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なぜこんなにも可愛いのだろう。 えも言われぬ快感と愛おしさと心疾患への同情が込み上げてくる。

これからこの子を死ぬ気で守りたい。 適当な感情ではなく、父親としての覚悟がはっきりとそこにあった。

産科へもどりしばらく待機していると、

先生がやってきて結果を報告してくれた。 出血が激しく輸血を伴っていた。2Lは輸血をしたらしい。

なかなか危なかったね。。。

妻はぐったりした様子で血の気が引いた顔をしていた。

今日は本当にお疲れ様でした。

人生で一番最高の日!